ミュウジアムオブビューティ.ワコールの本社ビル

10:00〜17:00 月〜金
企業博物館案内 http://homepage3.nifty.com/hoshiais/

伝統と和装の印象が強い京都の繊維業界の中でワコールは、日本を代表する洋装女性用下着メーカーとして60年近く、独創的なものづくりの輝きを放ち続けている。ミュージアムは、その創業以来の哲学を伝える。

 館内の壁面に、43ものパーツに分けたブラジャーの展示がある。1つ1つの部品が、手作業で立体的に縫い上げられ、製品となる。生産技術担当選任課長北村潤子(53)は、この展示を見るたび「ここにワコールのものづくりの原点がある」と思う。

 39年も、ファンデーションやランジェリー作りに携わってきた。「私は不器用やったんですねえ。みんな先に進むのに…。でも、基本に忠実にと、それだけでここまできた」と北村。こうして積み上げた北村の技は、世界どこの工場でも同じ製品がつくれる、同社の基準として認知される。

「やっと、私が何をすべきか、この歳になってわかりました」−上司の片岡重雄(58)と立ち上げた中国・広東工場のプロジェクトで実感した。「だれがやってもぶれない」マニュアル作りが、ライフワークに。

 一方、ミュージアムの奥には、シルエット分析装置など、同社人間科学研究所で使われている、自慢の人体計測装置が展示されている。

 「さまざまな実験データから、よそではできない新製品が生まれます」というのは、研究所の研究員須藤舞(30)。大学で心理学を専攻、人の体を計ったり、さまざまな実験で下着をつくっていく同社に興味を覚え入社した。「年齢、生活で体はみな違います。私たちが出したそういうデータをもとに、みごとに美しい製品に作り上げられるわが社の技術はすごい」と須藤。

 基本に忠実なものづくり、人の体と心を徹底的に調べつくす科学の力。ワコールを支える物心両面の神髄が、ミュージアムの展示から見えてくる。(敬称略)京都おもしろ宣言