総理がいなくてもやっていける日本――フィナンシャル・タイムズ

 日本における権力の一部は自民党が、そして一部は大企業が握っている。そしてさらに一部は、政官財という「鉄の三角形」のもう一角、つまり官庁が握っている。1990年代に度重なるスキャンダルや政策の失敗ですっかり面目を失った官僚たちは、今はじっと鳴りを潜めている。
 確かに往時の勢いはないかもしれないが、しかしそれでも官僚の影響力はおそらく今でも、政治家のそれを上回るはずだ。

たとえば今なら、貧しい地域にいる有権者の不満を解消するという政治的な要請に応えるならば、公共投資の拡大が当然ということになる。しかし官僚たちが、国の財布のひもを緩める気配はまったくない。