団地空き地に介護施設『団塊』高齢化に備え

来年度から厚労・国交省。都市部の住宅団地で今後、団塊世代の入居者の高齢化が急速に進むことから、来年度以降、団地の空き地などに介護施設や孤立予防の拠点などを設置することを決めた。

 厚労省は来年度から五年間、施設整備の交付金に毎年六十億円の特例枠を設け、計百五十カ所で事業を進めたい考え。国交省も団地内の土地や建物を民間事業者に割引価格で賃貸するなどの支援策を実施する。

 東京都の多摩ニュータウン大阪府千里ニュータウンなど、一九六〇−七〇年代に開発された大規模団地では建物が老朽化しており、建て替えが進むことが想定されている。

 両省の計画では、建て替えに伴い生じる空き地に老人ホームや認知症高齢者のグループホームなどを誘致するほか、建物の空きスペースを診療所や通所介護施設などに活用。住宅や団地内の道路などのバリアフリー化も進め、高齢者が住み慣れた場所で生活を続けられるようにする方針だ。

 厚労省交付金は、既に建て替え計画のある都市再生機構(旧日本住宅公団)や公営住宅などが対象。介護施設だけでなく、独居老人の孤立を防ぐための交流施設などにも支給範囲を広げ、一カ所当たりの上限額を通常の一億円から二億円に引き上げる。今後、自治体に事業参加を働き掛け、毎年三十カ所で事業を実施したい考えだ。

 国交省も医療法人による高齢者向け賃貸住宅の提供などを促すため、助成制度を拡充。建て替えやバリアフリー化を実施すると家賃が高くなるため、低所得高齢者の負担軽減策も行う。