台湾と中国

台湾の対中輸出の伸びは、中国の輸出の伸びとの連動性が強いという特徴をもっています。中国の輸出額が1%増加すると、中国の台湾からの輸入額が0.9%程度増加する計算となります。
人民元が10%切り上げられた場合、中国の輸出額は0.6%程度減少するとの推計結果が出ています

背景には、中台経済関係の発展形態があると考えられます。台湾企業は、中台間の大幅な賃金格差の下、中国への生産拠点の移管を通じて、中間財・資本財を中国に輸出し、加工・組立てした後、それを第三国・地域に輸出するという分業構造を形成してきました。このように、中台経済関係が加工貿易を主目的とした補完的な産業内垂直分業構造の形成過程。
人民元切り上げは、中国の輸出の伸び鈍化を通じて、台湾の対中輸出の伸びを低下させることになるでしょう。また、人民元に連動し、台湾ドル高が大幅に進んだ場合、台湾の対米輸出の伸び鈍化などを通じて、台湾経済の成長率が下押しされることになると考えられます。

 台湾紙「自由時報」は最近、「人民元が切り上げられれば台湾企業が回流する」と題した記事を掲載。同記事は「人民元が切り上げられれば、中国大陸の輸出コストが高まり、台湾企業は生産ラインを台湾に移すことになり、台湾の中国に対する過度の貿易依存を緩和することができる」と指摘した。