ベネズエラとウーゴ・チャベス「南の債券」

「南の債券」発行をベネズエラ中間層が支持 75億米ドルを調達 海外依存絶ち、革命事業に投資へ

  国営ベネズエラ石油(PdVSA)は3月末、数十億もの「南の債券」を発行し、75億米ドルを調達した。しかも、海外の国際融資機関や機関投資家向けではなく、ベネズエラ国内の中間層が資金調達に応えた。この資金は石油精製や天然ガス設備の修理に当られると同時に、社会開発にも投資される。チャベス大統領が主張する「金融市場の民主化」の実践でもあり、外国への依存を減らす政策の一環だという。
 一見伝統的な資本主義の方法を用いた資金調達だが、ベネズエラ構造改革を担う窓口としてのPdVSAに資金を集中させることで、国内外の経済再建プロジェクトを担う基金への支援も行う意味では画期的な方法だ。資源所有国の富を王族など富裕層やエネルギー産業が独占するのではなく、中南米全体を貧困から脱出させるための社会事業に投資する戦略的債券発行なのである。それだけに甘い汁を吸ってきたメジャーと北米との緊張が高まることが予想される。(ユンゲヴェルト特約)