近代化の雑感とブータン

近代化による伝統文化の問題は、近代化のスピードが急激になるほど、摩擦が大きく表面化しやすいものだ。
経済体制が自由経済などに変わる等、大きな変化があるとき、衣食住全てが分断され変化を求められる傾向にある。

閉じた社会では、金に振り回されることは無く、物々交換・労働交換が出来た。しかし自由経済では、グローバルという、広く金が支配する世界で金に振り回され、競争させられる。
人々は地域に縛られない代わりに、金に縛られていく。やがて市場価値で全てを判断するようになる。

そこでは、伝統的な文化は観光客を呼ぶための資本になり、客の嗜好に沿って形を変えられていく。

たしかに自由経済は、便利な西洋生活を運んでくるが、それは金が無いと手に入らない。外貨が無いと出来ない。その為には、貿易をしなければいけない。
発展国では、第一次産品や労働力が競争力を持つ。それは、外国の資本家に、企業に経済的に支配されることを意味する。グローバル経済の底辺に組み込まれることを意味する。


●来年ブータン王国民主化することになり、世界中が注目している。
国王の第4世は、民主化への改造改革を10年以上も前から進めてきたらしい。地方ごとに選挙制の議会を作り、憲法も作っている。

国民服を伝統装束に統一、国内への外国製品持ち込み制限など、他国から見れば2世紀前の様な外観を保っていた国。
であるが、インドとの交易は深く、インドの出稼ぎが多い。

4世は国内体制の移行の問題を、出来る限り小さくすることに成功していると思う。
外貨獲得のために、チーク材を大規模伐採せずに輸出禁止にし、環境破壊を食い止めたこともある。
横割りの行政のもとで、福祉分野では、ホームレスの家を建てている。

インドの出稼ぎの多さは、ブータンでは問題とされていない、
国民の80%が農民であるため、全国道路工事や建設工事を自国民はやる暇が無い。チベット仏教的に、忌まわれた仕事もあり、それをやってくれるインド人は、絶対に必要なのだ。待遇がよいため、インド人の希望者は絶えないが、外国人労働者に支えられていることは、ブータンの闇といっていい。