辻ゼミ談義★地域通貨ナルク・アルゼンチン

2.地域通貨の域内循環により地域経済の自律的な成長を確立し、インフレや失業の問題を解決する
 今日、地方の過疎化と都市への人口集中はグローバルに展開する貨幣に原因があるのです。こういった状況を改善しようと地方の町では地域通貨を立ち上げる事例が増えています。地域通貨ではお金が参加者の間でのみ流通するため外部へ流出することがありません。これにより地域内におけるモノの売り買いが増え地域経済が活性化する可能性が出てくるわけです。

5.個人の福祉、介護、救援などの非市場的サービスを多様な観点から評価するしくみを提供し、それらを活発にする
家事の敬遠・・・背景に円での経済活動の浸透により家庭内労働も他の賃金労働と比較されるようになったため、直接には利益を生まない労働である家事や育児、介護などが回避されるために起きていることと言えると思います。
 営利サービスは収益を基盤としているため、どうしても冷たい人間関係にならざるを得ません、またその労働の特殊性からいって完全にカヴァーすることは不可能でしょう。

取引において自己の利益とともにコミュニティへのコミットメントを同時に成立させる地域通貨は参加者間の信頼や相互扶助といった感情を促進させます。これらは家事、育児、福祉、介護、救援などのサービスに円における取引(収益性)と違った評価を行い、その取引を促進させるのです。(文:松原克彰)