国債放置の末路@日本人が消滅する日

少子化対策を怠り、硬直した予算配分のまま、赤字国債を乱発して、採算を度外視した公共事業を続け、財政が破綻するまで構造改革を先送りする。それだけでいい。ひとつだけ、年金の物価スライド制だけは廃止する。これだけやっておけば十分である。いずれ国債は暴落し、長期金利は暴騰し、ハイパーインフレに見舞われ、政府の債務はチャラになる。
 他方、国民の預貯金は紙クズとなり、年金は雀の涙ほどしか出ない。年金と預貯金だけが頼りの高齢者の生計は成り立たなくなる。そうなれば黙っていても、抵抗もできず、自活する力もない後期高齢者から順に息をひきとっていく。
 空想上の話ではない。90年代にロシアで起こったことは、そういう事態だった。ソ連崩壊後、ハイパーインフレに見舞われたロシアでは、年金や医療制度の崩壊だけでなく、アル中の増加や犯罪の激増など、社会的荒廃も手伝い、男性の平均寿命は「平時」であるにもかかわらず、一気に7年も縮まった。
2000年時点で、58・9歳。多くの男達が、年金受給年齢に達する前に、この世を去ってゆく。89年から94年にかけて、取材のためにロシアをたびたび訪れた私は、老人達の悲痛な叫びを、幾度となく耳にした。
 「エリツィン政権の政策は、年金生活者に対するジェノサイド(虐殺)だ!」
 日本政府が、このまま問題の先送りを続けていけば、日本は90年代以降のロシアがたどった道を追うことになる。不作為であれ、ジェノサイドはジェノサイドである。その罪は万死に値する。