コンパクトシティ→マンションのスラム化●ニュータウン

東京の住まいの主要構成要素であるマンションは、数年内に20万戸以上が築30年を超える。

建築後20年経ってくると、今のマンション業界のやり方から見えてくるものは、大規模修繕工事デベロッパーに身ぐるみ引きはがされた無一文の管理組合を、退職者または退職間近のシニアが維持する、という構図になる。お金持っていたり、技術を持っているシニアなんてそんなにいなから、結果として起こるのはマンションのスラム化だ。
 ひとたびスラム化が始まれば、地域全体のマンションの投げ売りが始まり、地価が下がり、貧困が貧困を呼び、地域社会は大きく変質するほか、自治体財政にも大きな影響を及ぼす。

2002/06/12「マンション建て替え円滑化法案」神戸社説
 同法で、建て替えに合意した区分所有者でつくる「マンション建替組合」に法人格が認められる。組合は、反対住民に対して、区分所有権や敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できる。また、まちの保安や衛生上、危険あるいは有害な建物について、市町村長が建て替えを勧告できる制度も盛り込まれた。
 最近、高齢者の間で、都心のマンションを購入する都心回帰の現象があらわれている。マンションのスラム化を防ぎ、質の高い住宅ストックとして整備することは、いまの区分所有者の利益のみならず、まち全体の再生にとって重要な課題だ。

 建て替えは、住民の合意づくりや権利調整、業者選びと契約など、手間のかかる大事業だ。反対住民に対する請求権など、大きな責任と権限を持つ組合に、法人格が必要なのは自明の理である。これまでは、管理組合の役員ら個人が矢面に立つことが多く、負担が大き過ぎた。

 老朽化マンションの中には、容積率で既存不適格になっている建物も多く、建て替えで一戸あたりの面積が極端に狭くなったり、入居希望者の戸数が確保できなかったりで見送られるケースもある。住民も高齢化し、費用のねん出が深刻な問題だ。

 現在、法制審議会が区分所有法の改正作業を行っており、この三月には中間試案を公表した。「同じ敷地に同じ使用目的の建物を建てる」などの規制を緩和し、隣接地の買収や商業ビルへの転換などで、建て替えをしやすくする方針だ。
 また、建て替えの前提として、設計や建設時点で、建物の寿命を延ばす努力が欠かせない。配管や、はりの構造、床下空間などに工夫を加え、メンテナンスやリフォームを容易にした工法も開発されている。建設廃棄物を減らす意味でも、より一層の延命策を研究してもらいたい。

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住宅新報」2862号の記事要約。
関東学院大学山本教授は「マンションから見た住宅政策の諸課題」として
(1)郊外団地型の様々な問題
(2)初期の供給時と最近の都心回帰による問題
(3)フローに対し都市・住宅政策─なすべきこと
(4)ストックに対して政策上なすべきこと
(5)国と自治体の役割を提示

マンションの場合、区分所有者の合意がないと、何事も進まない困難さがある。その意味では、単なる居住形態というよりは運命共同体である。私有財産でありながら、都市の機能要素として存在しており、所有者たちのみに任せられないという重要な要因があると述べている。

高崎健康福祉大学松本教授は「分譲マンションの成立と存続の社会的条件」と題して人口減少社会でのマンション政策のあり方を分析した。バブル経済崩壊とその後の都心回帰状況が続く中、首都圏周辺部の中古マンション価格が暴落している問題を挙げた。空室率も高まっており、群馬県ではマンション総ストックの5割が空き家となっていること、乗合バス交通の衰退や郊外マンションのスラム化が進み、ひいては都市住宅政策にも深刻な影響を与える、としている。

東北大学の近江教授は「賃貸住宅として見たマンションの政策課題」と題して、国の持ち家政策により供給されたマンションが結果として賃貸化し、大量のファミリー向け賃貸マンションを生み出した点について解説した。賃貸化について地域性の観点から言及し、地方中枢都市では区分所有者の不在率は4割前後に達している。とりわけ、小規模マンションや築年数を経たマンションで不在率が高い」と分析。首都圏では不在率より転売率が高く、中古住宅市場でのマンション取引が活発なことや、分譲当初から区分所有者が不在で賃貸住宅として機能している住宅が一定の割合で存在することなどを指摘した。

千葉大学の鎌野教授は「マンションは今後どうなるか」と題して講演。
マンションをめぐる問題・政策を「住宅として」、「共同住宅として」、「地域の構成要素として」の3段階に分け、都市再生に伴うマンション周辺地域の再生や、危険・有毒マンションの放置といった問題を挙げた。

全国マンション管理組合連合会の穐山会長は「都市型住宅としてのマンション(初期における団地)の功罪を検証した。1955(昭和30)〜65(昭和40)年代に大量供給されたマンション居住者の平均年齢が60
歳を超え、空家の増加や建て替えの合意形成の困難さなどもある」といった実態を説明し、建物の老朽化に対応した国や地方自治体の支援、建て替えなどに伴う地域再生事業が重要と述べた。

これに対して、国土交通省国土技術政策総合研究所の長谷川氏は、マンション再生に向けた政策として、管理組合で建て替えと改修を自由に選択できる「イコールフッティング(機会均等)」政策を積極的に進めていくことや、改修費用の補助・融資、建築基準関連規定の運用改善などを挙げた。最後にシンポジウム全体のコメントとして、前マンション学会会長で中央大学丸山教授が「さまざまな提言については、今後、一貫性のある議論を進めていく必要がある」としめくくった。