〆金・・・古都

 この話は、昭和36年の京都で「離ればなれで育った双子の姉妹が再会を果たす」事が主題である。
 2人の姉妹が最初に北山杉村ですれ違い、祇園祭で、運命の再会をした。
 しかし2人が、実の姉妹と分かった後に交流したのは、たった3回だけだった。
 2回までは、千重子が山に苗子を訪問しに行く。まず最初に、激しい雷雨が杉林の2人を襲う。苗子は千重子を守るために覆いかぶさって抱く。これは、銅像にもなった印象的なシーンである。

 2回目の訪問は冬間近で、またも2人はみぞれに近い天気雨に襲われている。

 3回目は苗子がしぶしぶ、求婚の相談の為に西陣の千重子の家に泊まりに来る。並んで寝入る2人が耳にするのは、しんしんと降る雪音である。
 雨からみぞれ、そして雪に変わっていく舞台。それと共に、水が溶け合うように、2人の距離も縮まって行く。
 そして雪の幻想さの中で、苗子は永遠の帰途に着く。ここで物語りも終わり、姉妹再会もここで終わる。