塾講師に能力検定 学習塾協会、筆記や模擬授業で審査

2007年04月15日

 全国約650の学習塾が加盟する社団法人「全国学習塾協会」は、塾講師の能力を評価するため、筆記試験や授業ぶりのビデオ審査による検定制度を年内に導入する。これまで塾講師の良しあしを測る客観的なものさしは無く、教え方も塾によってまちまち。統一基準を作ることで保護者からの信頼を高め、それぞれの塾のレベルアップにつなげたい考えだ。

 正規講師のほか大学生らのアルバイト講師が対象。基本的な心構えや能力を測り、塾講師になって間もない「若手」の受検を想定している。

 検定は、基礎知識を確認する講習会でスタート。講習会後の筆記試験に合格すれば2級の検定資格を得る。2級に合格すると、さらに1級の検定試験を受けられる。

 講習会は今年12月にまず東京で開く計画で、来年以降は5月と12月の2回、全国数都市で実施する。塾生や保護者に対する振る舞い方やマナー、身だしなみ、授業をする上での心構えなどを約2時間かけて学ぶ。その後、内容を理解したか確認する筆記試験と、公立高校入試レベルの教科試験を行う。

 2級の検定は、ビデオに撮った模擬授業の様子を3人の審査員が評価。授業の展開の仕方や話し方、塾生全員に視線を向けているか、などを見る。審査員は10年以上の経験があるベテランから、推薦と研修を経て選ぶ。1級の検定の具体的な内容は今後詰める。

 全国学習塾協会は、個人経営から大手進学塾まで約650の塾が加盟しており、事業所の数は2600カ所程度、講師は数万人規模になる。塾全体では全国に約4万9000の事業所があるが、このうち約1万8000が個人宅で展開する公文教室。公文教室を除くと、協会加盟の塾は事業所ベースで8%強にあたる。

 検定は、協会に入っていない塾の講師も受けることができる。受検料などは近く決める。同協会の稲葉秀雄専務は「講師は自分の能力がどの程度か分かり、意欲もわく。塾経営者としては、生徒や保護者ら顧客に対してアピールする材料になると思う」と話している。