金閣寺・ついえることによって美は永遠性を完結する、という三島の美学

金閣寺と引きこもり・美意識・三島由紀夫の青春・文体(私小説

 金閣寺は昭和25年に学生僧の林承賢によて放火されました。理由は「金閣寺が美しいから」というもの。それを題材に三島の美意識を注入して小説にしたのが本書です。三島文学を読むだけで彼の美への拘りが分かると思いますが、
 彼が割腹自殺する前に友人達に「自分はまだ若く美しいか?」と聞き自分の葬儀に醜い遺影が飾られることを最も怖れたことは有名です。また、三島が求める美とは永遠のものではなく形而上的なものであり、その究極が戦争における特攻等による散華であったことは、本書の金閣が美しいからこそ放火したその精神と通ずるものがあると思います。
 本書は主人公である溝口少年をして、実際に放火した林の体と三島の精神が融合したドキュメントであるような気がします。
現在とは違う金閣
 この作品に描かれている金閣(正式名称:鹿苑寺舎利殿)と現在の金閣は違うものなので、残念ながら今の金閣を見ても金ピカすぎて実感が湧かない。 放火された金閣は今の金閣と違いもっと古ぼけていたと思うが、そっちのほうが時の重なりだけが作り出せる絶対的で悲劇的な美が漂っていたと思う。

金ピカより、いぶし銀の方が魅せるよね〜。

 終戦を跨ぐ特異な時代に、社会的事件を冒すこの若い吃りの寺僧が、
永遠と刹那の耽美、明朗と暗鬱の友人、認識と行為の世界観の相克・融合に揺れながら次第にその振幅を増した末に至る実在の物語り
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 作者がそうであったのか、主人公は過度の自己卑下者であり、金閣寺を中心に全てにおける価値観が彼を占めていて、それを崩壊することで自己価値を見出そうとしているように思えました。
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過剰な位に「ダンディズム」を信奉する者による、過剰な位に理想化された非現世的な世界。
「「女という世俗」」マゾヒスティックで三島由紀夫的である。彼の作品には必ずどこかに「女性蔑視的」あるいは「女性への復讐心」「女性への恐怖心」が滲み出てしまう。しかし、その対照概念として描き出す「男性像」も、あまりにもストイックに理想化されて誇張されたものであるから、どこかぎこちなく、不自然なのだ。
フツーに生きてるGAYの日常 三島由紀夫「憂国」●MOVIEレビュー

回想 回転扉の三島由紀夫 (文春新書)男を女に換えて男を見る手法が、三島作品に多用されている。
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