デスノートの影響

これは非常に頭の良い主人公が、拾ったノートで世界を変えようとする話だ。段々狂気染みた主人公に対する、正義とは言えない探偵など勧善懲悪とは全く遠い描写や、殺人のシーンなどに危険視する人もいる。
ジャンプで抜群の人気を持ってきたこの作品は、最近実写映画化も決まった。主演は藤原竜也で第一弾6月、第二弾10月に公開予定。
ちょうど一年前、これが原因となった社会問題があった。中国遼寧省瀋陽市の小中学生らの間で作中の“デスノート”を模倣した「死亡筆記」が流行し大問題になった。現地で勝手に製造されたそのノートは、名前を書くだけで相手をのろい殺せるという過激なもの。中身は、数ページおきに「最初に死因を、後から名前を書けば相手は40秒後に死ぬ」などと、のろいのかけ方が書かれた黒いページが現れる。
このノートは子供達に大人気で多く広まったが、政府に「ノートは邪悪な心を植え付ける毒薬」と批判され、ついには規制された。
子供らは、ノートに学校の先生の名前などを書いて遊んでいたらしい。この背景に、中国の日本よりも強い受験競争意識がある。学校・塾と勉強ばかりで、その上競争のプレッシャーも多い。そこで溜まったストレスが、このノートに向かわせたのだろう。
しかし、この作品の推理展開に付いていけるのは、中学生以上だろう。小学生らはノート自体に引きつかれたと思う。
月が一方的な悪党かというとそうでもなく、また悪の英雄でもなく、勝ち気で頭の回る生身の人間として描くのに成功している。