教育原・ジャン・ジャック・ルソー

これはルサンチマンなどではない。人間性善説だ。本田さんはマルクスに自らを擬えていたが、むしろジャン・ジャック・ルソーの初期の思想に近い。

「人間とは本質的に善いものであり、堕落しているのは社会のほうである」

『人間不平等起源論』

 ルソーというとフランス革命の思想的背景となった人物との印象が強い。しかしかなり情熱的な人物でもあったようで、彼の書いた恋愛小説『新エロイーズ』では、自然における家族や人間関係の調和的回復の姿などを描き、ロマン主義文学の祖としても知られている。「家族」や「人間関係の調和的回復」は、本書の主題のひとつでもあるが、本田さんのことだから、知っていてわざとルソーの名前を出さなかったんではないだろうか。

 
>>フレーベル、
>>ニール・ポストマン著「子どもはもういない」

ポストマンは、印刷術の登場とともに、近代という時代が始まったという。フィリップ・アリエスが明らかにしたように、中世には、子どもと大人の区別がなかった(子ども期という特有の見方は存在しなかった)。
 しかし、印刷によって、書物が一般の人々の手に届くようになり、そこで大人になるためには、読み書きの能力が求められるようになった。このようにして、子ども期は誕生し、発見されたのである。
ところが、20世紀に入り、映像というメディアが登場することにより、子ども期は危機を迎えることになった。